HISTORY 城崎温泉伝統工芸「麦わら細工」と半七師

宿賃の足しに販売した土産物

兵庫県伝統的工芸品および豊岡市無形文化財に指定されている、城崎温泉の伝統工芸「城崎麦わら細工」。

大麦のわらを原料に桐箱や色紙に細工を施す「城崎麦わら細工」は、職人の手仕事でしか作り出せない芸術作品です。

「城崎麦わら細工」は、大麦のさやを色染めしてストロー状のものを編み込む”編組物”、
さやを切り開き、花鳥などの模様を桐箱にはっていく”模様物”と、
同じく切り開いたさやを幾何学模様にはっていく”小筋物”とに分けられます。
いずれの手法による麦わら細工も、現在国内では城崎のみで生産されています。

繊細な手作業で美しい模様を作り出す「城崎麦わら細工」の歴史は、今から300年ほど前までさかのぼります。
江戸時代の享保年間、因州(現在の鳥取県)の住人”半七”が、城崎温泉に湯治に来ていました。
半七は宿賃の足しにと、麦わらを赤・青・黄と色とりどりに染めて、
こま・竹笛などの玩具にはり付けて、浴客に土産として販売しました。
これが「城崎麦わら細工」の始まりとされています。
半七の麦わら細工は売れ行きが良く、糸巻きや指輪など、次々に新しい作品が考案されたそうです。
「城崎麦わら細工」の生みの親、“半七”の碑が、温泉寺境内薬師堂横にあります。

江戸時代後期にオランダから来日したドイツ人医師・シーボルトは、
帰国の際に大量の資料を持ち帰っており、それらはシーボルト・コレクションと呼ばれています。

「城崎麦わら細工」はシーボルト・コレクションにも収録され、海を越えて城崎の職人の技術が知れ渡りました。
また、明治35年には、セントルイス万国博覧会で最高名誉賞牌を受賞したとされています。

今日では、精巧豊麗な小筋模様のほか花鳥・山水図など描かれる模様の種類も豊富に、
かつ技術もさらに向上し、城崎の伝統的工芸品としての地位を確立していることは良く知られているとおりです。
小物入れやネックレスなど、伝統工芸品が身近に感じられるアイテムもあるのが嬉しいですね。

「城崎麦わら細工伝承館」では、職人たちによる作品の展示のみでなく、
オリジナルの絵はがきなどが作れる「城崎麦わら細工」制作体験も開催中です。

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