楽々浦湾と鼻かけ地蔵
楽々浦湾と鼻かけ地蔵の言い伝え
城崎温泉から車で約5分、円山川をはさんで城崎温泉の向かいには楽々浦(ささうら)湾があります。
楽々浦湾の水面の浮弁天嶋には閑寂な趣があり、屋形舟で水上から眺めることもできます。
城崎十景の歌では楽々浦湾がこう詠まれています。
雪の日や神の琵琶をも聞ばかり
四季折々で違う顔を魅せる城崎の風景。
冬の楽々浦湾も見逃せません。
楽々浦湾の畔にある小さなほこらには、「鼻かけ地蔵」がお祀りしてあります。
名前の由来はお地蔵様のお鼻がかけていることから。
「鼻かけ地蔵」には言い伝えがあり、「日本昔ばなし」でも登場しています。
昔、兵庫県城崎の円山川のほとり、楽々浦に住む貧しい漁師”喜助”の夢まくらにお地蔵様が現れ、こう言いました。
「ある年の大水で川底にさらわれた。ここは冷たくて暗いから、助けておくれ」
翌朝、漁師が川の中程で漁をしてみると、一回で一日分ほどの魚が取れたのでした。夢中になって漁をしていると、夢で見たお地蔵様が網にかかりました。
喜助は、大漁もお地蔵様のおかげに違いないと陸にあげて丁寧に祀りました。
すると、お地蔵様の鼻から米粒がポロポロ落ちてきたのです。
どんどん出てくる米粒のおかげで、喜助はたちまち裕福になりました。
お金持ちになるに従って欲が深くなった喜助は、お金儲けのことばかりを考えるようになっていきました。
「鼻の穴を大きくしたらもっと出るのでは」
と、お地蔵様の鼻の穴を広げようとノミを打ち込んだ拍子に鼻がそげ、米は二度と出なくなりました。
喜助は、反省して毎日地蔵にお参りをし「心豊かに生きられますように」と祈り続けました。
再び舟に乗って網を打つ生活に戻った喜助は、やがて、嫁をもらい貧しいながらも幸せに暮らしたそうです。
この言い伝えの通りなのか、祀られている「鼻かけ地蔵」は一つだけお願いごとを聞いて下さると言われています。
鼻かけ地蔵尊祭
「鼻かけ地蔵」では、毎年、「鼻かけ地蔵尊祭」として、護摩供養などを行う例祭が執り行われています。
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町楽 鼻かけ地蔵