城崎温泉開湯1300年開山忌とコロナウィルスの早期鎮静の願いを込めて

2020.04.25

今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、イベントは神事・仏事のみ4月24日に執り行われた温泉祭り。下記は城崎温泉の始まりのことを記すとともに、この度の新型コロナウイルス感染症の早期収束の願いを込めた願文を掲載いたします。

令和二年 城崎温泉開湯一千三百年開山忌併疫病早期鎮静祈願法会之願文 (開山忌法要にて)

伏して惟みるに、城崎温泉は地蔵菩薩の化身 道智上人 衆生済度の大願有って湧出せし霊湯にして、衆病悉除 身心安楽の功徳を普く示す、最上至極天下第一と称えられし霊湯なり。

夫れ元正帝の御宇 道智法師と申す僧あり。衆生済度の大願を起して諸国行脚の砌、当所鎮守 四所大明神の霊験あらたかなるを聴き、四所神社に参籠する事 三・七日。
道智上人 四所明神の神託を得て、一千日の間、衆病悉除・心身安楽の願いを込め八曼荼羅の薬湯加持をなし給う。正に大願成就なし給い、天甘露の雨降らし大地震動して、滾々と霊湯湧出す。此時に養老四年 西暦七二〇年の御事にして、今の曼陀羅湯なり。

又、時同じうして稽文なる高名な仏師あり。大和の長谷寺、鎌倉の長谷寺の観音像を創りし御祖木の先端の部材にて今一体の観音を創りし折り、俄に中風甚だし。道智上人開発されし霊湯あるを聴き、此の島へ来たりて湯治す。不思議なるかな今一体の観音、稽文を追って川を流れ波に揺られて当地観音浦へと漂着す。稽文この不思議に感激し、道智上人へこの観音の霊像を託しお祀りす。
この霊像当に温泉寺ご本尊にして、温泉守護のご本尊、当所地名の謂れの尊像なり。

道智上人の衆生済度の大願あって、悪業深く難業あって病に苦しむ者もこの湯に入りぬれば、忽ちに安楽を得し温泉湧出の不思議と、霊験あらたかな観音感得の不思議とが、朝廷にまで聴こえ天平十年有り難くも聖武天皇より末代山温泉寺の山号寺号を賜り、城崎温泉守護の勅願寺となる。
爾来当山は、温泉湧出と浴客の安全を祈りし寺にして、温泉の効能と観音 薬師の功徳とが一体不離の霊験あらたかな霊湯として今に至る。

奇しくも本年令和二年は、道智上人 一千日の祈願により温泉湧出せしより一千三百年に当祥す記念の年なり。ご本尊十一面観音三十三年目毎の御開帳と相俟っての機運を、当町の住人、有縁の者ら群衆し、数多の浄侶を屈請じて、温泉の湧出と街の繁栄に報恩感謝の誠を示すべきところ也と雖も、
天下は新型コロナウイルス感染症の疫病流行し、未だ治療の法有らざれば、人々は接触を避け、集まる事を避ける事が最善の法なれば、今は唯粛々と一座の法筵を開き、般若理趣三昧の秘法を修し、丹心を城崎温泉の無事湧出と繁栄、浴客の安全 身心の安祥、さらには新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束のために資せんと欲す。
 仰ぎ願わくは本尊十一面観世音菩薩ならびに諸仏諸菩薩諸天善神、此の法会の功力をもって恣に我らの浄願を哀愍納受せしめ給わんことを。依って金磬を鳴らし回向、祈願すること左の如し。

一、三世覚満 十方賢聖 浄仏国土 成就衆生の奉ために
一、弘法大師を始め奉って三国伝燈諸大阿闍梨耶 普賢行願皆令満足の奉ために
一、当山本尊十一面観世音菩薩 温泉守護の薬師瑠璃光如来 威光倍僧の奉ために
一、当山開祖道智上人を始奉って歴代先師尊霊倍僧法楽の奉ために
一、城崎温泉の無事湧出と浴客安全 衆病悉除 身心安楽の為に
一、当山有縁の大衆 家門繁栄 子孫長久 息災延命 六親眷属 如意円満の為に
一、当年行疫流行神、新型コロナウイルス感染症 早期鎮静収束のために

乃至法界 平等利益 

   右唱え挙る所 件の如し

維時 令和二年 四月二十四日

別格本山 末代山 温泉寺
中興三十世 祐章 敬白

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